介護医療院が創設された背景の一つに、2025年問題へ対応があります。2025年問題とは、2025年にいわゆる団塊の世代と呼ばれる世代が後期高齢者になることで生じると予測される社会的諸問題のことを言い、2025年には75歳以上の後期高齢者の人口は2000万人を超えることになります。これにより長期的な医療ケアと介護サービスが必要となる高齢者がますます増加していくことが予測。これが介護医療院が創設されることとなった背景の一つ目です。
さらにもう一つの背景として、従前の介護施設では対応しきれない利用者をどうするのかといった課題もありました。介護施設の利用者の中には、差し迫った医療ケアが必要かどうかにかかわらず容体が急変するリスクがある方も一定数います。しかしながら、そのリスクにしっかりと対応できる介護保険サービスが存在していませんでした。これが二つ目の背景です。
この二つの背景は密接に関係しています。従前の介護施設では対応しきれない利用者は、後期高齢者が一気に増加する2025年問題を境に、さらに増加すると想定されています。医療ケアと介護サービスの両方を必要とする高齢者の数が増えていくのに、それに対応できる施設がないことが大きな問題だったのです。
そういった状況に対応していくために、国は今後の医療・介護サービスの提供体制について、療養病床の在り方などの具体的な改革を推し進めるために検討会を開き、対応方針を固めていきました。そして2018年に介護医療院という医療ケアと介護サービスを一体的に提供できる施設が創設されるに至ったのです。